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一生に一度役立つかわかりませんが・・・
ある日突然、お役人がやってきて、こう告げます。
「現在、道路の拡張工事をやっているのですが、あなたの土地が事業用地になることになりました。」
日本全国見渡してみれば、道路・鉄道・公共施設・ダム等々いろいろな公共事業が行われています。その度に何の因果か『地権者』となってしまう人がいます。
国や地方公共団体などが、個人や企業の土地などを道路や公共施設の建設のために取得することを、「収用」と言います(厳密に言えば、法律に基づく場合を「収用」、法律に基づかない場合を「用地の取得」と言います)。
もっとも、多くの人にとっては、「一生に一度」もない出来事、縁のない話かもしれません。
でも、小さな食品会社を営んでいる私の場合、ちょっと違いました。
1992(平成4)年に国道拡幅の話があり、ようやく1998(平成10)年に隣接地に一部移転しました。
ちょっと落ち着いたかなと思ったら、2000(平成12)年に新築したばかりの工場が今度は鉄道関連の事業用地になることが決まりました。
そして、再度移転を2005(平成17)年したら、今度は2007(平成19)年に、鉄道関連工事の影響で地盤沈下事故発生!またまた移転をするはめに・・・・
と、貴重な体験を3回(関連する細かなのを含めると5回)もすることになりました。
これだけ経験すると、土地収用制度・損失補償制度だけでなく、公共事業の問題点もいろいろと感じます。
全国でも稀な「収用制度オタク」の戯言を綴ったサイトですが、万が一あなたが「当事者」になった時の「心構え」のためにお付き合いください。
でも、本当に読んでいただきたいのは、公共事業の用地取得の担当になった国や地方の公務員の方々ですね。
〜「トリプルWで困るネっと」主宰者 小丸
検証・川辺川ダム『漁業権』収用問題
自分自身のこともじっくりと語りたいのですが、世の中にはもっと困った事例があるものです。それが熊本県相良村に建設予定だった(もう『過去形』にします)川辺川ダムに関わる漁業補償の問題です。
日本三大急流の一つ球磨川の支流「川辺川」。そこに日本でも有数な規模のダムを建設する計画が持ち上がったのが、1966(昭和41)年のことです。
当初、水没予定地の五木村などでは、ダム建設反対の声が大きかったのですが、五木村がダム容認に方針を変えました。その後、代替地の造成などが進み、ダム本体着工のために残された手続きは、「漁業補償」だけとなりました。
漁業補償交渉は難航、そこで国土交通省は過去例がない「『漁業権』の収用」手続きを行いました。
起業者である国土交通省、「権利者」とされた球磨川漁業協同組合、そして「権利を主張する者」として収用委員会に加わった漁業者有志、この三者がそれぞれに意見を述べ合う審議が重ねられました。
何の因果か、私も「権利を主張する者」の代理人として、収用委員会に参加することになりました。
収用委員会でも意見を述べましたが、国土交通省が行おうとした『漁業権の収用』は、極めて問題があるものでした。
収用委員会の審議自体は、前代未聞の「収用裁決申請の取り下げ」という形で終わりましたが、その中身を検証することは、日本の収用制度、公共工事を考え直すきっかけになると思います。
「川辺川ダム漁業権収用問題」・・・実は、憲法問題なんです!
公共工事に伴う収用制度、この問題を考える基本は、日本国憲法第29条です。
| 第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。 ○2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。 ○3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。 |
財産権は侵してはいけない「権利」です。 土地だけでなく「漁業権」も私有財産です。
第29条第3項で、国や公共団体等に、事業のために、個人や企業の土地や諸権利を用いることを認めています。ただし「正当な補償」と「公共のため」という二つの条件が満たされていることが前提です。
川辺川ダム漁業権収用問題について、この二つの条件を中心に見ていきます。
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